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「はたけのいす」について~2025年春、動き出します!
いったい「はたけのいす」とは何か。今、考えていることはなにか。少し長くなりますが、書いてみようと思います。
<「はたけのいす」でやりたいこと>
①新鮮な野菜をその日のうちに届けたい。〜野菜を身近に
私も以前は野菜をお店で買っていました。そして、少しずつ野菜作りをしていくうちに、「生産者(農家)→出荷団体(農協等)→卸売市場→小売業者(スーパー、八百屋等)の経路をへて、消費者に届く」という既存の流通の仕組みに疑問を感じるようになりました。すごく時間をかけて、野菜が店に並ぶ。その間に鮮度は落ちる。手数料もその都度かかるし、野菜もたくさんの野菜の中の一つになってしまうので、誰がどこで作ったのかは見えなくなってしまう…。
じゃあ、軽トラに野菜を積んで直送すれば、どうだろう?畑から直接家庭まで届けられる。いっそのこと畑に買いに来てもらえば、一番新鮮な状態で野菜を手渡せる。店に並べた事で生じる「売れ残り」というロスも少なくなるはず。そんなことを考えるようになりました。
もちろん、今の流通がダメと言っているわけじゃなくて、大量の野菜を扱うにはある程度の「システム」が必要です。個人の小さな農家ができることはすごく限られています。でも、小さな農家だからこそ、小回りが効いていろんなこと試せるのではないか。
従業員は私一人なので(笑)、どこまでできるかわかりませんが、以下のような感じで来年1年間試行販売してみたいと思っています。
詳しくは「はたけのいす」のホームページ、「野菜の販売について」をご覧ください。
②安心できる旬の野菜を届けたい。
今は旬が見えにくい時代です。ハウス栽培ができることで、1年中野菜が作れる。しかし、千葉から新潟県の妙高市に引っ越してきて感じたのは、露地栽培だと4月中旬から12月上旬ぐらいまでしか、実質畑で野菜作りはできない。寒さもありますが、一番の大きな要因は、雪。畑は雪に完全に埋もれてしまいます。こんな感じに。
2025年2月の畑の様子。雪の上には、生き物の足跡がいくつも…。これが普段は3月まで続き、なんならもっと雪の量が多いとのこと。だからでしょうか。地域での話題は、旬の話題がとても多くて。「山菜採れたよ」「ウドも出てきた」とか、「今年は雪が少なかったから、用水の水、大丈夫かな。」「苗が売りに出てたよ」「もう〇〇植えた?」「梅干し漬けた?」「(沢庵用の)大根干した?」等々…。みなさんすごく、季節を感じて生活しています。
「キャベツはお盆頃種まきするといいよ」「大根は9月3日に植えるんだよ」近所の方々の話を聞くと、野菜には一番育つ「旬」がある。だからこそ良く育つし、おいしい。そのように「旬」を感じられる野菜を、作って行きたいと考えています。
<納屋でも野菜を保存します>
あと、これは旬という「目的」ではなく、自分の「手段」になってしまうのですが、農薬や化学肥料を使わずに野菜を作ってきました。その「手段」を求めている人は、正直少ないと思います。やはり、「値段」かなと。「はたけのいす」の野菜は、値段では太刀打ちできない。味だって、見た目だって、まだまだ不十分。じゃあ、なにをアピールできるんだろう?まずは、「鮮度」。そして、+αがあるとすれば…。
そう考えたときに、<安全>は検証が難しい。でも、<安心>を感じてもらうことはできるんじゃないか。あくまでも、あと少し、買おうか迷っている人の背中を押すことば。
「note~自分なりの有機農法について」
「スーパーの野菜よりもちょっと高いけど、安心する。」そう感じてくださる人は少ないかもしれないけど、いるかもしれない。でも、今や産直ECもそうだし、直売所でも無農薬野菜はあります。需要はもう満たされているのかもしれない。特に、妙高市、上越市では、人口も少なしい…。でも、「農薬を使わなかったから、化学肥料を使わなかったから、おいしい」とは明確に言えないかもしれないけど、「漠然とした不安」を減らす材料にはなれたらいいな、と思っています。
ここまで読んでいただくと、なんかすごく「安全」に対して意識が高い人な感じですが、案外そこまで突き詰めて考えているわけでもなくて。自分が今考えている農業は、まずは、経費をできるだけかけない。それを突き詰めていったら、無農薬、無化学肥料という考え方にたどり着いた感じです。安全性うんぬんもあるけれど、経費から「農薬」と「化学肥料」を省くことで、まずは、野菜作りを「仕事」として成立させたい。高く売れないなら、経費を減らすしかない。「お金のかからない農業」をできるところまでやってみよう。そう考えたなかでの無農薬、無化学肥料。やりながら学んでいきたいと思っています。
あと、今年は「固定種」と呼ばれる種を使って、野菜を作ってみようと思っています。野菜本来のおいしさを引き出せるか。栽培には難しい点が多いと聞きますが、妙高という土地で、今年一年試していきたいと思います。
③新潟妙高のことをもっと知ってほしい。
妙高の冬は雪が多く、畑も雪の下に埋もれて、農作業は12月~3月の間はできません。昨年は雪が少なかったとのことですが、今年はたくさん降りました。それでも例年より少ないと周りの方は言ってますが…。
ジャガイモは関東では3月初めに種イモを植えますが、こちらでは早くて4月上旬。多くの野菜はゴールデンウイーク前あたりに定植することが多いです。妙高にも梅雨は普通に来ますので、雪が積もる前に収穫を終わらせようと思うと、栽培スケジュールが結構タイトになります。
厳しい自然の中での農業ですが、様々な工夫もみられます。例えば、雪を利用した保存方法。「雪室」などが代表例です。あえて畑に野菜を残して春に収穫したり、雪の中に野菜を埋めてみたり。もちろん、玉ねぎやニンニク等は秋に植えて6月ごろ収穫。その間の多くは雪の下で育ちます。
「note~雪室を作ってみた!2023.12.」
「note~今年も、雪室を作ってみる!2024.12.」
「note~雪中、雪下野菜について~あくまでも自分なりの解釈です」
妙高市で作られている「かんずり」という香辛調味料は、唐辛子のアク取り、塩抜きのために、1月頃雪にさらします。ジーンズ等も雪にさらしているお店もあったり。上手に雪と付き合っているのだなあと感じます。日本酒、味噌、醤油…発酵食品が豊富なのも、この地域特有の文化です。
そんな厳しい気候で育った野菜を是非食べてみていただきたいと思っています。そして妙高のことを好きになるきっかけにしてもらえたら、とてもとても嬉しいです!私も縁があって妙高に去年引っ越してきましたが、あのトップの写真のような、妙高山の美しさに一目ぼれした人間なので…。
もちろん、だから野菜が美味しいのか?とは言えないかもしれませんが、野菜にまつわるたくさんの「ストーリー」を、「note」でこれから発信していきたいと思っています。「どこで」「誰が」「こんな風にして野菜をつくっている…」…と、少しでも興味を持ってもらい、ファンを増やしていきたいです。
<最後のおまけ>
今の物価高で、肥料、薬、燃料費、すべてが値上がりしています。でも、野菜は変わらずの一つ100円が当たり前になっていたりする。今年の春は、東京でキャベツが一つ1000円で売られていた、という話も耳にしました。でも100円という値段は、あまりにも安すぎると思うんですよね…。
例えば、野菜農家さんにしてみれば、100円で100個売って1万円。さらに手数料がひかれるとなると…。「農業」の対義語は、辞書を引くと「工業」と出てきます。もちろん、「工業」も大切ですが、「農業」の製品には、安売りは似合わないんじゃないか。なぜなら、手に入らないと、人は生きていけないから。生きていくための「食べ物」の価値は、もう少し大切にされてもいいのでは、と思う今日この頃なのです。
…ごめんなさい、もう少し続きます…。
千葉県から新潟県の妙高市というところに引っ越してきて感じたのは、大体の家で、畑がある。もちろん町中では少ないですが、ちょっと離れた地域だと、家の裏に畑がある。そこで、自分の家で食べる分の野菜を作っている。なので、多分ですが、家の前で無人販売などしても、売れない(笑)。だって、みんなそれぞれで作っているから(笑)。
でも、それでいいのだと思います。「地産地消」とか気取らずとも、昔からそうして人々は暮らしてきている。まあ、代が変わって20年後はわからないですけどね。今野菜を作っている年配の方々は一線から身を引き、若者がそれを継ぐかどうか。そもそも若者が少ない。
食べ物が「流通」することが当たり前になっているけれど、もし可能なら、自分の食べ物を少しでもいいから自分で作って食べる。それだけで、食料自給率だって少しは改善するだろうし、店に野菜が並ばない日が来たとしても、パニックにならずに済むのではないか。食料自給率が減少しているけれど、同時に人口減も加速している中、上手にソフトランディングできるのではないか。
それと並行して、流通の問題。まあ、野菜作りって、たくさんできすぎちゃうときがどうしてもあって。でも、それが誰かの手に渡らなければ無駄になってしまう。それを上手に流通させたり、誰かに届けられる仕組みを、農家初心者ではありますが、これからいろいろ考えていきたい。生協とか、産直ECとか、既存の野菜宅配じゃない、もっと無駄がでない仕組み。最近SDGsとか、フードロスとか最近よく話題になりますが、持続可能な世界を築くということは、こんなところにもヒントがあるんじゃないかと思ったりもしています。
慣行農法、農薬、化学肥料、それらが無くなったら、日本の食料は維持できないでしょう。それこそ、2024年夏の米騒動のように、食料危機といえるような「食べ物がない」という日常が、現実味を帯びてきている気がします。でもその時、多分この国は、国外から食料を安く輸入しようという方向に向かうのではないか。なぜなら、土地も、担い手も、この国ではすぐには準備できないから。
そして、どこの国も食べ物を売ってもらえなくなったら…。誰もがもっと身近に野菜作りに関われる仕組みも、少し考えてみたいなあ、と思う今日この頃です。
…とかまあ、大きなことも話してきましたが(笑)、要は食べ物に関心を持てる世の中になるといいなあ、そのほんの少しの部分を「はたけのいす」が担えたらなあ…、と、大層なことを考えているおじさんがいるぞ、というお話でした(笑)。
最後に、私が好きな漫画「夏子の酒」の一節を。豪田さんというお百姓さんの言葉です。「食うものがなくなれば、人は争って農家にやってくる。食うものが余っていれば、田畑なぞ見向きもしない。…飽食の時代など、歴史から見ればほんの一瞬の出来事にすぎん。まっさきに飢えが訪れるのは、自給率30%のこの国だ。田畑を潰し続けるこの日本という国だ!」
今から30年以上も前、すごく衝撃を受けた言葉でした。そして今こうして自分も農家になろうとしています。少しは、あのころと比べて成長できたかな。ささやかですが、これから農業に携わっていきたいと思っています。
もしよろしければ、今後とも末永くお付き合いいただけましたら幸いです。
これからブログでも「note」等を使って、「ドタバタ新規就農」の様子をお伝えしながら、
たくさんの「種まき」をしていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします!
「はたけのいす」代表 吉田二郎
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